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《 2018.10.23 》

厚労省、2040年の社会保障の議論を開始 重点課題に医療・介護の生産性向上


《 改革本部で挨拶した根本厚労相 22日 

厚生労働省が2040年を見据えた社会保障や働き方の見直しをめぐる議論を本格的に開始した。22日午前、政務3役や幹部職員が省議室に集結。改革本部の初会合を開催した。本部長を務める根本匠厚労相は、「全ての世代の安心につなげる。省一丸となって充実した政策の実現に取り組んでいく」と述べた。
 
第1回2040年を展望した社会保障・働き方改革本部
 
来年10月に予定通り消費税率を引き上げる − 。安倍晋三首相が今月15日にそう表明したことが1つの契機となった。実際に8%から10%となり、その増収分が子育て支援や介護職員の処遇改善、財政の健全化などに充当された場合、2025年を念頭に進められた既定の改革(社会保障と税の一体改革)は一段落する。“次の未来”を展望した構想の続編が必要だ。
 
2040年は「団塊ジュニア世代」が65歳を超えていくタイミング。日本は高齢者の急増から現役世代の急減へと局面が大きく変わっていく。国はこの過渡期を施策のターゲットとして明確に位置づけることに決めた。
 

 目指すは「より長く元気に活躍できる社会」

 

厚労省はこの日の改革本部で、これから検討を進めていくうえで軸となる最も重要なテーマとして、
 
○ 多様な就労・社会参加の環境整備
 
○ 健康寿命の延伸
 
○ 医療、介護、福祉サービスの生産性の向上
 
○ 給付と負担の見直しなどによる社会保障の持続可能性の確保
 
の4つをあげた。これらは相互に関連が深い。それぞれを追求して良い循環を生み出すことで、「誰もがより長く元気に活躍できる社会」を目指すとしている。
 
健康寿命の延伸と生産性の向上については、2040年に達成すべき目標と2025年までの工程表を来夏をメドに打ち出す。これらは「骨太方針」に反映され、政府全体の計画としてまとめられる見通しだ。
 

 通いの場、大幅拡充へ

《 厚労省の改革本部 22日 

厚労省は改革本部でテーマごとに取り組みの方向性も提示した。
 
健康寿命の延伸ではやはり「予防」がキーワードだ。病気、要介護、重症化・重度化、フレイル、認知症などをいかにして防ぐのか − 。施策を総動員していく構えをみせている。
 
例えばインセンティブの仕組みの強化。保険者にこれまで以上の努力を促し、高齢者が自ら参加して体を動かす“通いの場”の大幅な拡充を図るとした。個々人が習慣や行動を自発的に変えていけるように誘うナッジも駆使し、無関心層にもアプローチしていきたいという。医療・介護の専門職や自治体が民間のスポーツクラブと連携し、看護、ケア、栄養指導、体操・運動などを一体的に提供するスキームも提案する。
 
現場の生産性の向上に向けては、人工知能(AI)やロボット、IoTといった新たな技術の実用化を着実に進めていく。横断的なICTインフラを基に次世代のスマートなサービスを展開する「データヘルス改革」も加速させる。介護施設の業務を細かく分析・仕分けし、可能な部分をシニア層の介護助手などに任せていく役割分担も推進していく。
 
介護事業者などの組織マネジメントの改善も柱の1つだ。労務管理・人事管理を担う人材の育成にリソースを割き、ガイドラインの策定・普及にも力を入れていく。「実績評価の導入など、現場を効率化する工夫を促す報酬制度への見直し」も盛り込まれた。厚労省の担当者は、「具体化はまだこれから。審議会などで俎上に載せ、可能なものは速やかに実行に移したい」と説明。今後の報酬改定をめぐる論点に含める構えをみせた。このほか、法人どうしの統合や連携などで経営の大規模化を図っていくことも含まれている。
 

 地域共生社会、引き続き展開

 

多様な就労・社会参加の環境整備については、雇用・年金制度の改革がメインになりそうだ。意欲のある高齢者がそれぞれのペースで仕事に励めるよう、より柔軟な働き方を広く一般化していく。「地域共生社会」の旗印も引き続き掲げる。誰もが何らかの役割を持ち、支え手となって貢献できる仕組みを根付かせたい考えだ。
 
厚労省は改革本部の下にプロジェクトチームやタスクフォースを置く。異なる部局の担当者で議論を掘り下げ、横断的な課題も解消していくとした。

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