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《 2018.9.25 》

【特養】重度者優先の流れが加速 要介護2以下の入所者は過去最低の6.7%に


特別養護老人ホームの重度化がさらに進み、要介護2以下の入所者の割合が全体の6.7%とこれまでで最も低くなったことが、厚生労働省が20日に公表した2017年の「介護サービス施設・事業所調査」の結果で明らかになった。前年より1.6ポイント減。受け入れを原則として要介護3以上に限定した2015年のルール見直し以降、“重度者優先”の流れが一段と加速している。
 
この調査は全国すべての特養が対象。入所者の要介護度別の構成割合は昨年9月末時点の状況で、92.5%の施設の回答を集計したという。
 
平成29年介護サービス施設・事業所調査の概況
 
それによると、入所者のうち要介護3は23.8%、要介護4は36.8%、要介護5は32.6%。要介護1は1.7%、要介護2は5.0%だった。平均要介護度は過去最高の3.94。要介護2以下の割合は5年前(2012年:11.6%)から4.9ポイント下がり、10年前(2007年:13.7%)の半分以下となっている。

要介護2以下の入所者が減っている現状は国の思惑通りだ。「中重度で在宅生活が困難な高齢者を支える施設としての機能に重点化していく」。厚労省はこうした方針を掲げ、受け入れは原則として要介護3以上に限るよう自治体を指導してきた。加えて、2015年4月の改定で特養の基本報酬を大幅に抑制。以前より経営に余裕を持てなくなったところが増え、より高い対価を得られる重度者を多く確保しようという動きが強まった。
 

「軽度者でも状態は様々」

 

重度者が入所しやすい環境ができた一方で、経済的に苦しかったり認知症を抱えていたりして在宅生活の継続が難しくなっているにもかかわらず、要介護度が低いために“門前払い”されてしまう人がいる懸念もある。国は「必要性が高ければ入所は認められる」と説明してきたが、その実効性がどこまで担保されているかは不透明だ。
 
厚労省の「介護給付費等実態調査」によると、要介護2以下の特養の入所者は2015年度末が47.9万人、2017年度末が33.4万人。要介護認定を受けている人は増えているが、入所者は2年で約15万人少なくなっている。東京都の高齢者福祉施設協議会が昨年6月に実施した調査では、都内の特養の73.2%が「入所の際は要介護度を優先させている」と回答。「要介護度に関係なく状況次第で入所させる」との答えは21.6%で、「重度者を多く受け入れないと経営がもたない」との声も寄せられていた。
 
淑徳大学・総合福祉学部の結城康博教授は、「要介護度の重い高齢者が入りやすくなったメリットはあるが、認定にはばらつきがあり軽度者でも状態は様々。要介護2以下の人が頼れるサービスの受け皿があるか、詳しい調査が行われるべき」と指摘。「社会福祉法人も経営面ばかりにとらわれず、“介護難民”を見過ごさないようにソーシャルワーク機能をしっかりと発揮して欲しい」としている。

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