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Report

《 2018.9.6 》
= 社保審・介護給付費分科会 =

来年10月の賃上げ、介護職以外も対象に 多くの委員が支持 加算拡充で具現化へ


《 社保審・介護給付費分科会 5日 》

厚生労働省は5日、介護報酬を議論する審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)を開催し、来年10月に予定されている介護報酬改定に向けた議論を本格的に開始した。
 
政府が昨年末に約束した賃上げについて、事業者や専門職の代表などで構成する委員から意見を聴取。介護職員だけにとどまらず、ケアマネジャーやリハ職、看護師、栄養士なども対象に含められるよう、事業者に一定の裁量を与えるべきとの意見が大勢を占めた。厚労省は既に、既存の「処遇改善加算」の拡充で具現化する方針を固めている。要件やルールをどう設定するのか、具体的な手立ては年内に決める考えだ。
 
第161回社会保障審議会介護給付費分科会資料
 
来年10月の賃上げは、深刻なマンパワー不足の解消に結びつけるための目玉施策。政府は昨年12月、消費税率の引き上げで新たに得られる財源から毎年およそ1000億円を投じて実現する計画を閣議決定した。メインターゲットは10年以上の経験があるベテランの介護福祉士。専門性を高めて現場を長く支えている人材を高く評価する構想だ。キャリアアップの道筋を分かりやすくして魅力を高めたり、「将来を描けない…」と離職してしまう人を減らしたりする狙いがある。他産業の賃金との格差を勘案し、上げ幅は月額の平均で8万円程度とされた。
 
ただ政府は、対象をベテランの介護福祉士だけに厳しく限定する手法は避ける構えだ。「現場のケアは他職種のチームで成り立つ」「経験が浅くても活躍している職員は少なくない」。こうした業界の声に耳を傾けた。昨年12月の閣議決定では、「経験・技能のある職員に重点化を図る」とする一方で「柔軟な運用を認める」と記載。どっちつかずの表現を敢えてとり幅を持たせた。具体策ではどの職種を対象とするべきか、勤続年数の要件をいかに設定するべきか − 。これらが最大の焦点となっている。
 

 処遇改善加算、新区分の創設を検討

 

この日の会合では対象職種をめぐり、ベテランの介護福祉士にウエイトを置きつつ事業者に一定の裁量を与えるよう求める声が相次いだ。
 
老健の経営者らでつくる全国老人保健施設協会の東憲太郎会長は、「介護福祉士の処遇改善に財源の多くが充当されるべき。ただ共に働く看護職員やリハ職、ソーシャルワーカーなどに少し使うことも認めて欲しい」と主張。日本介護福祉士会の石本淳也会長は、「多様な人材の活用や他職種連携の推進といった流れを踏まえ、介護職員以外も含めて柔軟に運用することを否定はしない。ただし、まずは経験・技能を持つ介護福祉士がしっかりと実感を持てる処遇改善となることを希望している」と述べた。
 
厚労省はこうした方向性で議論を深めていく方針。現行で処遇改善加算は5段階(加算I〜加算V)あるが、独自の要件・ルールを持つ新たな区分を設ける案を軸に調整を進めていく。会合後に担当者が明らかにした。
 
もっとも、対象を広げすぎると個々の賃上げの幅が小さくなってしまうため、介護職員を確保する効果が薄れてしまう懸念が強い。「施策のインパクトも大事」という見方も根強く、政府は難しい判断を迫られることになる。
 

「同グループなら他法人でも」

 

会合ではこのほか、「1つの法人での勤続年数のみをみるのではなく、同じグループ内であれば別の法人も含めてカウントできるようにして欲しい」といった要望が出た。また、人材を定着させるには安全かつ健康的に尊厳を持って働いていける環境の整備が不可欠、との趣旨の指摘が続出。そうした職場づくり、マネジメントに努めることを加算の要件に加えるべきとの意見が多く上がった。

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